協同油脂は、昭和11年に「小船商会」として創業し、事業の発展によって昭和21年に社名を「協同油脂株式会社」に改称、潤滑剤の製造と販売を行う専業メーカーとして操業を開始しました。
以来、当社は「如何なる機械の運転にも欠くことのできない重要な技術商品である潤滑剤の質と生産量の向上」を目標に掲げ、鉄道、鉄鋼、自動車などの市場への参入に積極的に挑んできました。
操業当時、日本で生産されたグリースは必ずしも評価の高いものではなく、欧米からの輸入が主流でした。協同油脂は、早くからその品質水準を世界に置き、欧米技術の導入、海外メーカーとの技術提携を図りながら、品質向上に努めてきました。このことがお客様に認められ、国内トップのグリースメーカーになった要因のひとつと考えます。
創業時からこだわり続けた「品質の高さ」が、
当社の強みです。

協同油脂の製品のひとつに、転がり軸受用グリースのデファクトスタンダードに育った「マルテンプSRL」があります。当時、工業製品の技術進歩により、耐熱性、低温性、防錆性、音響特性、長寿命などに高いパフォーマンスが求められていました。これらの要求に応えるため、マルテンプSRLはお客様との相互協力によって開発され、今では、世界中でご使用いただいています。
この他、金星探査機「あかつき」に用いられた極限状態で使用される真空用特殊グリース。新幹線に用いられた高信頼性の主電動軸受用グリース。油膜が形成しづらい極低速という条件下でも潤滑膜を形成し、耐熱・耐荷重・耐水性にも優れた連続鋳造設備用グリース。部品の耐久性のみならず、自動車の快適な乗り心地を実現する等速ジョイント用グリース。着火しても延焼しない非延焼性設備用グリース・・・。このように、お客様のさまざまなニーズに応えるグリースを開発することができる
この「開発力」が当社の強みです。

グリースに必要不可欠な成分として、ベースオイルをグリース状(半固体状)にする役割をもつ「増ちょう剤」があります。その増ちょう剤にウレアを用いたものを「ウレアグリース」といい、一般的なリチウムグリースに比べて、耐熱性などに優れるという特長があります。
ウレアにいち早く注目し、独自の研究開発を深めてきた結果、ウレアには他にも優れた特性があることがわかってきました。この研究成果によって開発された数々のグリースは、自動車部品や電機部品など耐熱以外の用途に広がり、今では、製造するグリースの約半分がウレアグリースになっています。
有用性と可能性を持つウレアグリースについて、多くの研究成果と製品開発を行ってきた「ウレアグリースの第一人者」であることが、協同油脂の強みです。

当社はこれまで、潤滑を通じて日本の産業界に貢献してきました。そのお客様のグローバル化に応えるために、海外での製品供給とサポート体制の強化を進めています。
海外生産拠点は、マザー工場である亀山事業所が持つ生産・品質管理のノウハウを移転され、日本と同等の品質水準で製品を生産しています。
世界各地にいる営業担当者は、テレビ会議システムなどITを駆使し、タイムリーかつダイレクトに技術担当者など社内関係者とつながり、お客様のご要望に迅速に対応しています。
当社の強みは、「海外においても高い品質の製品とサービスを提供できる」ことです。
トライボロジーとは
トライボロジー(Tribology)とは、ギリシャ語で「摩擦する」という意味の“Tribos”を語源とする造語です。
トライボロジーという言葉は、イギリスの教育科学大臣がH. Peter Jost氏に対し産業競争力を高めるために潤滑の科学技術に関する振興策について答申を求めたことに対し、同氏が1966年に"Lubrication(Tribology)"という報告書(Jostレポートと呼ばれる)を提出したことで誕生し、摩擦・摩耗・潤滑に関わる学問分野を示すものとして広く使われるようになりました。
OECD(経済協力開発機構)の研究部会によるトライボロジーの定義は、『相対運動をする2物体間の相互作用を及ぼしあう表面、ならびにこれに関連した諸問題と実地 応用に関する科学と技術』となっており、狭義に言えば表面・接触・摩擦・摩耗・潤滑をキーワードとし、2つの物体の接触面に発生する現象を解明するとともに、それらの制御技術を取り扱う学問といえます。
2つの固体間の接触面での現象を扱うトライボロジーの適用範囲は、現代産業を支えるあらゆる工業分野のみならず、人間の関節に代表される医療分野、地震の発生、地滑りに代表される自然分野にかかわることまでに及びます。
またこのような表面同士の接触、摩擦、摩耗の現象を扱うためには、物理学、化学、材料力学、弾塑性学、流体力学、熱力学、医学、生物学など数多くの学問の知識と、トライボロジーが応用される分野の知見が必要であり、「トライボロジー」とは、あらゆる分野の総合科学であると言っても過言ではありません。